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2025年、ヒップホップは注目のアルバムをいくつも輩出してきましたが、安定した商業的ヒットには欠けている状況です。

Joey Bada$$は最近、2025年は記憶に残るほど強力なHip-Hpoの年だと主張しました。さらに、2020年代で最高の年だとし、その理由としてこれまでにリリースされたアルバム群を挙げています。

「Westside Gunnの作品が2枚、JID、Clipseの再結成アルバム、Larry June & 2 Chainz、Chance the Rapper、Freddie Gibbs & The Alchemist…」

確かに説得力のある指摘ですが、チャートの動きを見ると全体的にはやや低調に映ります。

「Hip Hop All Day」によると、最新のSpotifyグローバルデイリーチャート200曲のうち、ラップ曲はわずか4曲しかランクインしていません。このチャートは1日の再生数に基づいています。ちなみに5年前の同じ日には56曲がランクインしていたとのことです。

さらに深刻なのは、この結果が9年前に同チャートが始まって以来、最悪の成績であること。そしてランクインしている4曲はすべて2024年以前の楽曲だという点です。

ランクインしているのは、The WeekndとPlayboi Cartiの「Timeless」(2024年)、Don Toliverの「No Pole」(2023年)などです。

SpotifyのグローバルチャートでHip-Hop曲のエントリーが過去最低(200曲中わずか4曲)になったのは、単に「人気が落ちた」というよりも業界やリスナーのトレンド変化が大きいと思われます。

  1. アルバム志向の強まり
     2025年はJoey Bada$$が言うように名盤が多い年ですが、チャートは「1日の再生数」で決まります。アルバム全体を評価されても、単曲が爆発的に再生されないとチャートには反映されません。
  2. ラップ以外のジャンルの台頭
     アフロビーツ、ラテン(特にレゲトン)、K-POP、エレクトロポップなどがグローバルで急速に拡大。Spotifyのリスナー層が世界的に多様化しており、Hip-Hopのシェアが相対的に縮小しています。
  3. ヒット曲の持続力不足
     ランクインしている曲が2024年や2023年の楽曲であることから、2025年の新曲が長期的にチャートに残るほどの大衆的ヒットになっていないことが分かります。
  4. ストリーミング時代の構造変化
     TikTokやInstagramリールなどのショート動画が、楽曲の「バイラル化」を決める大きな要素に。Hip-Hopは従来、長い曲やストーリーテリングが重視されるため、短尺で映える音楽のトレンドと相性が悪い部分もあります。

この様な背景が重なった結果がHop-Hop曲がランクインしない状況ではないでしょうか。