2007年9月11日、Kanye Westは自身3作目のスタジオアルバム『Graduation』を、そして50 Centは自身3作目のスタジオアルバム『Curtis』を、それぞれ同日にリリースした。もともと発売日が離れていた両作だったが、Kanye Westが2007年7月に自身のリリース日を50 Centの発売日に合わせて動かしたことで、Hip-Hop史に残る歴史的なセールス対決へと発展していく。当初50 Centは「Graduationに売上で負けたらソロ活動から引退する」と発言し、この対決はメディアを巻き込む一大イベントとなった。

『Graduation』はプロダクション面で高く評価され、Daft Punkをサンプリングした”Stronger”が全米チャート1位を獲得。批評家からは絶賛され、Rolling Stone誌やUSA Todayの年間ベストアルバムにも選出された。後年にはRolling Stone誌やNME誌の「オールタイム・グレイテスト・アルバム」にもランクインしている。対する『Curtis』は評価が分かれ、Metacriticのスコアは58点にとどまったものの、シングル”I Get Money”はTime誌の「2007年ベストソング」6位に選ばれるなど、部分的には高い評価を受けた。

セールス対決の結果は、Kanye Westの『Graduation』が初週95万7000枚、50 Centの『Curtis』が初週69万1000枚と、Graduationの圧勝に終わった。これはNielsen SoundScan史上、2作品が同時に62万3000枚を超えて初登場した2例目という記録的な出来事でもあった。この結果を受けて50 Centは実際には引退宣言を撤回している。

このセールス対決がHip-Hop史において特に重要なのは、それがギャングスタラップ全盛の時代の終わりと、新たな表現のスタイルの台頭を印象づける象徴的な出来事となった点だ。『Graduation』の勝利は、ストリートのイメージに頼らないアーティストたちが主流での成功を収める道を切り拓いたと評価されている。『Graduation』は最終的に700万枚以上を売り上げる7倍プラチナ認定を獲得し、Kanye Westに3度目のグラミー賞Best Rap Albumをもたらした。

2026年で、この歴史的なセールス対決から19周年を迎える。

代表作 Music Video

▶︎ Kanye West “Stronger”Daft Punkの”Harder, Better, Faster, Stronger”を大胆にサンプリングしたこの曲は、Kanye Westに3度目のBillboard Hot 100 1位をもたらした代表曲。フューチャリスティックなミュージックビデオも高く評価され、『Graduation』を象徴する一曲となっている。

▶︎ 50 Cent “I Get Money”『Curtis』からのシングルで、自信に満ちたブラギングリリックとキャッチーなフックが特徴的な一曲。Time誌の年間ベストソングにも選出されるなど、対決の評価が分かれる中でも高く評価された楽曲だ。