September 5, 2021

Hip-Hopのアイコンたちにとって、ジュエリーはもはや装飾品ではない。オークションハウスすら注目する、数千万ドル規模の「資産」としてのチェーンとウォッチの世界。

世界的に著名なラッパーの多くは、数百万ドル規模のジュエリーコレクションを所有している。高級リセール市場の専門家によれば、Hip-Hop系ジュエリーは今や重要な資産クラスへと変貌を遂げているという。ここでは、最も価値あるジュエリーポートフォリオを持つアーティストたちを紹介する

1. Drake

    総額 約$39,000,000 (約63.2億円)

    圧倒的な首位はDrake。高級リセールマーケットプレイスKaiiaの最新調査によると、彼のコレクションは現在3,900万ドル相当と評価されている。18Kホワイトゴールドに42個のダイヤモンドをあしらったラリアットチェーンは、過去の破局した婚約42件を象徴するデザインとされ、単体で1,000万ドルを超える価値を持つ。ほかにも500万ドル相当のカスタムサファイアウォッチを所有する。

    2. Lil Uzi Vert

    総額 約$24,600,000 (約39.9億円)

    2位はLil Uzi Vert。Kaiiaの調査では2,460万ドル相当のコレクションを保有。かつて自身の額(ひたい)に埋め込んでいた10カラットのピンクダイヤモンドは、単体で2,400万ドルと評価されている。本人は近いうちに再度この石を額に装着したいと語っているという。

    3. Jay-Z

    総額 約$12,900,000 (約20.9億円)
    音楽業界初の億万長者となったJay-Zは3位。ジュエリーとウォッチの総資産は1,290万ドルに上る。1,282個のダイヤモンドをあしらい、バゲットカットのダイヤモンドだけで100カラット超を誇るHublot「Big Bang」は500万ドル相当。ほかにグリーンサファイアウォッチ(300万ドル)、ブルーサファイアウォッチ(250万ドル)も所有している。

    4. Rick Ross


    総額 約$8,500,000 (約13.8億円)
    4位はRick Rossで、コレクションは850万ドル相当。エメラルドをちりばめたAudemars Piguet「Royal Oak」(300万ドル)や、自身の横顔をかたどったイエローダイヤモンドのペンダント(150万ドル)などを所有する。

    5. Kendrick Lamar

    総額 約$4,800,000 (約7.8億円)
    5位はKendrick Lamarで、コレクションは480万ドル相当。象徴的なアイテムは、2022年のグラストンベリー・フェスティバル出演時に着用した「荊(いばら)の冠」。50本の棘それぞれに計8,000個超のマイクロパヴェダイヤモンドが敷き詰められたこのピースは、本人いわく制作費300万ドルというカスタムクラウンだ。

    1996年7月2日、Nasの2作目のスタジオアルバム”It Was Written”がColumbia Recordsからリリースされた。1994年のデビューアルバム”Illmatic”は批評家から絶大な評価を受けたものの、商業的には控えめな成功にとどまっていた。Nasはその反省を踏まえ、よりメインストリームを意識したサウンドへと方向転換を図り、本作の制作にはTrackmastersを中心としたプロデューサー陣を起用した。

    “It Was Written”は”Illmatic”の生々しくアンダーグラウンドな質感から一転し、洗練されたマフィオーソ・ラップの世界観を打ち出した作品だ。アルバムは初週27万枚を売り上げ、Billboard 200で初登場1位を獲得。これはNasにとって商業的な最大の成功作となり、現在もキャリア最高セールスを記録するアルバムとして知られている。

    本作にはNasによる短命のスーパーグループ The Firm の初登場となった楽曲が収められており、Foxy Brown、AZ、Cormegaといったアーティストとの共演も話題を呼んだ。リードシングル”If I Ruled the World (Imagine That)”はLauryn Hillをフィーチャーし、第39回Grammy AwardsのBest Rap Solo Performance部門にノミネートされるなど、批評的にも高い評価を獲得。一方で、よりコマーシャルな方向性への変化は一部のヒップホップ・コミュニティから「セルアウト」という批判を受けることにもなったが、それすら本作の影響力の大きさを物語っている。Raekwonの”Only Built 4 Cuban Linx…”やJay-Zの”Reasonable Doubt”と並び、1996年を代表するマフィオーソ・ラップの傑作として、2024年にはBillboardの「100 Greatest Rap Albums of All Time」にも選出された。

    2026年で本作はリリースから30周年を迎える。

    ▶︎”If I Ruled the World (Imagine That)” feat. Lauryn Hill “It Was Written”のリードシングルとして1996年にリリースされたこの曲は、Kurtis Blowの同名曲をベースに、Whodiniの”Friends”のビートをサンプリングしている。Hype WilliamsとRon Norsworthyによる豪華なミュージックビデオはNasにとって初めて主流メディアの注目を集めた作品となり、今でも90年代を代表するヒップホップ・クラシックの一つとされている。

    ▶︎”Street Dreams” アルバムの2枚目のシングルで、Eurythmicsの”Sweet Dreams (Are Made of This)”を引用したフレーズと、Linda Cliffordのサンプルが印象的な一曲。Hype Williams監督によるミュージックビデオは映画”Casino”へのオマージュとしてラスベガスで撮影され、俳優Frank Vincentや元Miss USAのKenya Mooreが出演した大作だ。この曲はNasにとって初めてBillboard Hot 100でトップ50入りを果たした楽曲となった。

    朝の4時44分に目が覚め、妻Beyoncéのマイクを借りて書き始めたというエピソードから始まったこのアルバム。TIDALとSprintの限定配信という形でリリースされた『4:44』は、発売からわずか5日でRIAAプラチナ認定を受け、Billboard 200で初登場1位を獲得した。

    「金持ちラッパー」が初めて心の中を開けた日

    プロデュースを全面的にNo I.D.に委ねたこのアルバムは、Jay-Zがそれまでのキャラクターを脱ぎ捨て、夫婦関係の危機、黒人の資産形成、父としての責任という極めて個人的なテーマに真正面から向き合った作品だ。「The Story of O.J.」では人種と経済格差を、「4:44」ではBeyoncéへの謝罪と後悔を赤裸々に歌った。批評家からは「Jay-Z史上最もパーソナルな作品」と絶賛され、第60回Grammy Awardsでアルバム・オブ・ザ・イヤーにもノミネートされた。

    代表作 Music Video

    ▶︎「The Story of O.J.」(2017) アニメーションを使ったMVで、人種・お金・黒人コミュニティの経済的自立というテーマを描いた衝撃作。Grammy AwardsでRecord of the Yearにノミネート。

    ▶︎「4:44」(2017) アルバムのタイトル曲。Beyoncéへの謝罪とも読める内省的なリリックは、スーパースターが初めてその鎧を脱いだ瞬間として語り継がれる。

    ブルックリンのマーシー・プロジェクト出身の無名ラッパーShawn Carterが、資金難の中でDame DashとKareem “Biggs” Burkeとともに自主レーベルRoc-A-Fella Recordsを立ち上げ、世に送り出した一枚。リリース当初のBillboard 200での最高順位は23位。しかし30年後の今、『Reasonable Doubt』はHip-Hop史上最高のデビューアルバムの一つとして揺るぎない地位を確立している。

    「これが売れなかったら、ストリートに戻る」——その覚悟が生んだ名盤

    Jay-Z自身が「自分の人生すべてをかけて作った一枚」と語るこのアルバムは、DJ Premier、Ski、Clark Kentらが手がけたビートの上に、ハスラーとしての経験とその葛藤を余すことなく叩き込んだ作品だ。The Notorious B.I.G.が客演した「Brooklyn’s Finest」、Mary J. Bligeをフィーチャーした「Can’t Knock the Hustle」、そして今なおHip-Hopの象徴的なトラックとして語り継がれる「Dead Presidents II」。チャートの数字こそ地味だったが、The Sourceから5つ星(満点)評価を受け、後世のラッパー全員に影響を与え続けた。GrammyホールオブフェームにはのちにRoc-A-Fella Records作品として殿堂入りを果たしている。

    代表作 Music Video

    ▶︎「Dead Presidents II」(1996) Skiプロデュースの荘厳なビートに乗せ、ストリートと金と葛藤を語る名曲。Rolling Stoneが選ぶJay-Z楽曲トップ50で第2位に輝いた。

    https://www.youtube.com/watch?v=PIrp1Koxs2k

    ▶︎「Can’t Knock the Hustle」(1996) feat. Mary J. Blige アルバムのオープニングトラック。まだ無名だったJay-Zが、世界に向けて最初の一手を打った瞬間。

    Young Thugが、Capitol Recordsから解放されたKodak Blackに対し、自身のレーベルYSL Recordsへの加入を公式にオファーした。Kodak Blackがフリーエージェントになったというニュースがソーシャルメディアに広まるや否や、Young Thugはすぐさまその意思をXで宣言した。

    「もし俺とディールを組んでくれるなら、あいつが欲しいと思うものなら何でも与えてやる。」

    YSL Records(Young Stoner Life Records)は、Young Thugが2016年に設立したアトランタ拠点のレコードレーベル。Gunna、Lil Duke、Yung Blazeらを擁し、アトランタのトラップシーンを牽引してきた。2022年にはYoung Thug自身がERISA法違反を含むギャング関連の共謀罪で起訴され、長期にわたる裁判(通称「YSL裁判」)が続いた。2024年に有罪答弁を行い釈放。現在はレーベルを再建しながら活動を再開している

    Kodak Blackは近年Capitol Recordsと契約していたが、同レーベルとの関係が終了したと報じられた。Hip-Hop業界においてフリーエージェントになることは、アーティストにとって新たな契約交渉の重要な機会となる。Young ThugはそのタイミングをすかさずXで捉え、ハッシュタグ「#NoCizzy」とともに強い熱意を示した。

    Capitol Recordsは1942年にロサンゼルスで設立されたアメリカの大手レコードレーベル。現在はUniversal Music Groupの傘下。Katy Perry、Sam Smith、Beck、Coldplayなど多数の主要アーティストを擁する。Hip-Hop部門でもKendrick Lamar、Iggy Azalea、Kodak Blackといったアーティストと契約してきた実績がある。

    Young ThugとKodak Blackの間には以前から相互リスペクトが存在していた。Young ThugはKodak Blackの独特のフロウとアトランタとは異なるフロリダ発のサウンドに注目してきたとされ、今回のオファーはYSL Recordsの再建に向けた積極的な動きの一環とも見られる。

    Kodak Blackの本名はBill Kahan Kapri。フロリダ州ポンパノ・ビーチ出身のラッパーで、「Tunnel Vision」「ZEZE」などのヒット曲で知られる。過去には複数の刑事訴追を経験しており、2021年にはDonald Trump前大統領による大統領恩赦を受けたことでも話題となった。ダイレクトな歌詞とユニークなフロウで根強い人気を誇る。

    今のところKodak Black側からの公式な反応は伝えられていない。Hip-Hop業界では、このようなレーベル間の引き合いがSNS上でオープンに行われるケースも増えており、今回の動きも大きな注目を集めている。YSL Recordsが今後どのようなラインナップを揃えるのか、引き続き動向が注視される。