2001年10月23日、DMXはRuff Ryders EntertainmentとDef Jam Recordingsから自身4作目のスタジオアルバム『The Great Depression』をリリースした。『It’s Dark and Hell Is Hot』(1998年)、『Flesh of My Flesh, Blood of My Blood』(1998年)、『…And Then There Was X』(1999年)と、これまでの3作すべてでBillboard 200初登場1位を記録してきたDMXにとって、本作はその勢いを維持できるかが注目される一作となった。
『The Great Depression』は、セラピーセッションを模したスポークンワードのイントロで幕を開けるなど、これまでの作品以上に内省的で告白的なトーンが強い作品だ。批評家からは、ラップをセラピーとして用いているかのような喪失感や精神的な葛藤の描写が指摘され、AllMusicは「感情的にはこれまでと変わらないが、4作目にして創作面での疲弊も感じさせる」と評した一方、RapReviewsは収録曲”Fallin'”を「本物の心の痛みが伝わる」と高く評価している。
商業的には初週44万枚を売り上げてBillboard 200初登場1位を獲得。これでDMXは4作連続でアルバムを1位デビューさせるという、当時としても稀有な記録を打ち立てた。同年12月にはプラチナ認定を獲得している。シングル”Who We Be”はグラミー賞Best Rap Solo Performanceにノミネートされ(受賞はMissy Elliottの”Get Ur Freak On”)、”We Right Here”もHot Rap Songsチャートで上位に食い込むヒットとなった。信仰と苦悩の間で揺れ動く独特のリリシズムで一時代を築いたDMXにとって、本作は商業的な絶頂と、アーティストとしての消耗が同時に垣間見える、キャリアの転換点を示す一枚として位置づけられている。
2026年で、『The Great Depression』のリリースから25周年を迎える。
▶︎ “” 2001年8月にリリースされた先行シングルで、The Loxをフィーチャー。いつものニューヨークではなくボルチモアで撮影されたミュージックビデオは、アルバムのハードでダークなトーンを象徴する一曲となっている。
▶︎ “Who We Be” Joseph Kahn監督によるこの曲のミュージックビデオは、刑務所の独房内からの視点で撮影された印象的な一曲。グラミー賞にノミネートされ、『The Great Depression』の中でも特に評価の高い楽曲として知られている。