1999年7月20日、Pop Smoke(本名Bashar Barakah Jackson)はニューヨークのブルックリンで生まれた。2010年代後半、彼はイギリス発のUK Drillのサウンドをニューヨークのストリートに持ち込み、瞬く間に Brooklyn Drill というムーブメントの中心人物となった。その重く沈み込むようなビートと、低く威圧的な声質によるフロウは、それまでのニューヨーク・ヒップホップのサウンドを一変させた。
Pop Smokeは2019年のミックステープ”Meet the Woo”で頭角を現し、”Welcome to the Party”や”Dior”といった楽曲が爆発的にヒット。”Dior”はNew York Timesをはじめとする複数のメディアから「2019年最高のニューヨークのアンセム」と評され、彼の代表曲となった。続く2作目のミックステープ”Meet the Woo 2″でさらに勢いを増した彼は、メインストリームへの足がかりを着実に築いていった。
しかし2020年2月19日、Pop Smokeはロサンゼルスで命を落とす。デビュースタジオアルバムとなる”Shoot for the Stars, Aim for the Moon”は彼の死後にリリースされ、Billboard 200で初登場7位を記録。Quavo、DaBaby、Futureら豪華アーティストが参加したこの作品は、Brooklyn Drillをアンダーグラウンドからメインストリームへと押し上げる決定打となった。彼の死は早すぎる悲劇であったが、彼が確立したサウンドはその後のニューヨークのドリル・シーンの礎として今も生き続けている。
2026年でPop Smokeは生誕27年になる。
▶︎”Dior” 2019年にリリースされたこの曲は、Pop Smokeのシグネチャーソングとして知られている。808Meloによる重厚なドリルサウンドの上に乗る彼の低音ボイスが印象的で、ニューヨークのストリートを舞台にしたミュージックビデオは、彼が確立した「Brooklyn Drill」の世界観を象徴する映像作品となっている。
▶︎”What You Know Bout Love” Pop Smokeの死後にリリースされたアルバム”Shoot for the Stars, Aim for the Moon”からのシングルで、Ginuwineの楽曲をサンプリングしたR&B色の強い一曲。Billboard Hot 100で9位を記録し、彼の持つメロディアスな側面を世に示した。2020年12月に公開されたミュージックビデオは、未公開のスタジオ映像やプライベートな瞬間を編集したトリビュート的な内容となっており、彼の人柄が伝わる一本だ。