1994年8月21日、日本語ラップの歴史を変えるシングルが届いた。EAST END×YURIの1stシングル「DA.YO.NE」だ。EAST END——GAKU-MC、ROCK-Tee、YOGGYの1MC+2DJによるHip-Hopグループ——と、東京パフォーマンスドール出身のポップシンガー、市井由理(YURI)が組んだユニットによるこの曲は、RHYMESTERのMummy-DとGAKU-MCが共同作詞し、YOGGYが作曲した。George Bensonの「Turn Your Love Around」をサンプリングしたキャッチーなトラックの上に、女子の日常会話とGAKU-MCの軽妙なラップが絡み合う、当時の日本のHip-Hopとしては異色のポップ・フレンドリーな一作だった。
「DA.YO.NE」のヒットは一夜にして訪れたわけではない。リリース当初、セールスは低調だった。転機をもたらしたのは北海道のラジオ局FM NORTH WAVEによるヘビーローテーションで、口コミで広まった人気が地方から全国へと波及し、翌1995年に入ってようやく全国規模のブレイクを迎えた。最終的にオリコン週間シングルチャートで最高7位に達し、日本語ラップ史上初となるミリオンセラー(101.8万枚)を記録。ギネスブックに「英語以外の言語によるラップCDの世界最高売上記録」として掲載された。
「DA.YO.NE」の歴史的意義は単なるセールスの数字にとどまらない。スチャダラパーと小沢健二の「今夜はブギー・バック」と並んで、日本の一般リスナーにラップ・Hip-Hopを認知させた二大楽曲の一つとして語り継がれている。EAST ENDはRHYMESTER、MELLOW YELLOWとともにHip-Hopコミュニティ「FUNKY GRAMMAR UNIT」を構成し、日本語ラップシーンの礎を築いた存在だ。「DA.YO.NE」は同年末の第46回NHK紅白歌合戦にも出場し、Hip-Hopが日本のメインストリームに踏み込んだ瞬間を象徴する一曲となった。
2026年8月21日でリリースから32周年を迎える。
▶︎ EAST END×YURI – “DA.YO.NE”(1994)
女子の恋愛あるあるトークとGAKU-MCのラップが微笑ましく絡み合うMV。「だよねー」というフックの口ずさみやすさが日本中の若者に響き、1994年という日本語ラップの黎明期にミリオンセラーという前人未到の記録を打ち立てた。時代を超えて愛される日本語ラップのオリジネイター的名曲だ。