Hip-Hop史に残る大物同士のBeef(確執)も、時が経てば和解に至ることは珍しくない。Jay-ZとNas、そして近年ではDrakeとKendrick Lamarも、長年の因縁の末に歩み寄りを見せてきた。そのリストに新たに名を連ねたのが、LupeFiascoとKid Cudiだ。
2人はKanye Westがシカゴで行った2度目の「Homecoming」公演のバックステージで顔を合わせ、写真を撮り、言葉を交わした。KanyeにとってシカゴはHip-Hopキャリアの出発点にあたる地元であり、こうした地元凱旋公演は毎回、往年の顔ぶれが集まる同窓会的な場になりやすい。
2人の確執の始まりは、意外にもシンプルな出来事だった。2014年、LupeFiascoはファン向けに1本500ドルでオーダーメイドのバース(パーソナライズされたラップの一節)を販売するサービスを始めた。今でいうCameoの有料メッセージ動画のラップ版のような仕組みだ。
これに対しKid Cudiは、ファンからお金を取ってバースを売ることはファンの足元を見た行為だとして疑問を呈した。LupeFiascoはこの件について直接話し合おうとしたが、Cudiはその都度会話を避け続けたという。この「無視された」という感覚が積み重なり、数年におよぶ確執へと発展。LupeFiascoが一時は実力行使をちらつかせる場面もあったとされるが、Hip-Hopの対立といえば定番の「ディストラック」の応酬には至らなかった。
関係修復のきっかけを作ったのはCudiだった。2024年、彼は自らの非を公に認め、次のように語っている。
「自分が間違っていたのはわかってる。あんなクソみたいなことをするべきじゃなかったと、彼にも伝えたんだ」
Cudiは、当時LupeFiascoを批判した本当の理由はファンを思ってのことではなく、自身の嫉妬心にあったと振り返っている。また、2人の間を取り持った共通の知人「IBN」の存在にも触れ、Black community、とりわけ同じ業界で活動するBlackの男性同士が無用な対立を続けるべきではないという思いを口にしたという。
今回のシカゴでの再会は、その和解が実を結んだ瞬間と言えそうだ。ディストラックも公式な和解宣言もないまま燻り続けていたBeefが、1枚の写真によって静かに幕を閉じた。